テクニカル分析ってなんですか?
このような疑問にお応えします。
市場を分析するのに用いられる方法の一つとして、多くの市場参加者が利用しているのがテクニカル分析です。
FXのテクニカル分析とは?
FXのチャートも用いて、市場の値動きの観察し、未来の価格の方向性を予測すること。
市場の動きを捉えるために主要な情報が3つあります。
- 市場の動きは全てを織り込む
- 価格の動きはトレンドを形成する
- 歴史は繰り返す
それでは一つ一つ詳しく見ていきましょう。
市場の動きは全てを織り込む
テクニカル分析のメインになるのがこの考え方で、世界的などんな大きな出来事も、各国の些細な出来事も、それが政治的で市場参加者の心理的なものでも、目の前で表示されている価格にはすべてが反映されています。
価格の動きはトレンドを形成する
値動きには一定のリズムがあり、そのリズムによって一定の割合で市場はトレンドを形成します。
トレンドを追いかける手法は、「順張り」と呼び、テクニカル分析をする一番の理由です。
トレーダーはトレンドを探し、そのトレンドに乗ることを考えています。
何故なら、上手なトレーダーはトレンドは反転するよりも継続する可能性のほうがはるかに高いとしっているからです。
トレンドを見つけるには、様々なチャートをみて値動きを観察することが必要です。
そして、そこには一定のパターンやリズムがあり、わずかな優位性があり、その優位性こそがトレードの柱になるきっかけになるのです。
歴史は繰り返す
2度あることは3度あるということわざではないですが、何故か一定の確率で同じようなチャートを描くことがあります。
それを「チャートパターン」と呼び、市場参加者の心理を反映していると言われているのです。
様々なチャートパターンは、過去の場面において同じようなチャート形成を作り、先の値動きの予測に役立ちます。
つまり、過去の値動きを知れば、どのような場面でチャートパターンが発生するかが分かり、それを実際のトレードに活かすことが出来るのです。
ダウ理論
テクニカル分析を知るうえで最初に覚えておく必要があるのが、「ダウ理論」です。
ダウ理論を提唱したのは、1882年にダウ・ジョーンズ社を設立した「チャールズ・ダウ」という人物です。
このダウ理論はテクニカル分析の元祖と言われ、多くのテクニカル分析の基本はダウ理論をベースに作られています。
ダウ理論の基本原則その①「平均は全てを織り込む」
この記事の冒頭でも紹介した、テクニカル分析の基本的な考え方と同じです。
全ての出来事は、市場平均に反映されているということで、前もって予想不可能な天災も含まれるとされています。
実際のチャートでも予測不可能な動きのあと、新たな流れを作るか、今までの流れを継続するか元の動きに戻って行きます。
ダウ理論の基本法則その②「トレンドには3種類ある」
トレンドには、3つの種類がありそれぞれ主要トレンド・2次的トレンド・小トレンドと分類されています。
それぞれの期間は以下の通りになります。
- 主要トレンド:通常1年以上
- 2次的トレンド:3週間から3か月
- 小トレンド:3週間未満
ダウ理論の基本法則その③「トレンドは出来高でも確認されなければならない」
トレンドのシグナルを確認するのには、出来高の増減が必要になります。
トレンドが上昇基調であれば、出来高は価格の上昇に伴って増加し、価格の下落時においては減少をします。
逆にトレンドが下落基調になると、価格の下落に伴い出来高の上昇が確認でき、反発をする時に減少します。
ダウ理論の基本法則その④「トレンドは転換の明確なシグナルが出るまで継続する」
現在が上昇トレンドだとすると、相場は今後更に上昇をしていくと考えられます。
逆に相場が下降トレンドの場合は、相場は更に下降していく可能性が高いです。
トレンドの転換点については、誰にも分らず、様々なテクニカルツールを元に、トレンド転換を見定めていく必要があります。
そんな場合は、ルール通りに損切をして仕切りなおしていきましょう。
テクニカル分析に使うテクニカル指標
テクニカル分析に使う指標はいくつかの種類に分かれます。
ここでは、主に使用されることの多いテクニカル指標を分けて紹介します。
テクニカル指標を読み解くさいに重要視しているのは、「多くのトレーダーに使われているかどうか?」が重要です。
相場は、市場参加者の心理面が非常に色濃くでますので、たくさんの人が見ている指標ほど参考になるものはありません。
ただし、それがゆえにテクニカル指標を用いた「ダマシ」にかかってしまうこともあるので、使い方には一定のルールが必要になってきます。
トレンド分析:移動平均線
多くのテクニカル指標のなかで一番使われているのが「移動平均線」です。
移動平均線は主にトレンド追従に使われ、「順張り」するうえで最も有効性の高いテクニカル指標です。
その手法も様々な書籍や、実際に稼いでいる方の手法にも多く取り入れられています。
SMA(単純移動平均)
単純移動平均とは、一定期間の終値を平均化した線のことです。
例えば、10日移動平均とすれば10日間の終値を合計し10で割った数値になります。
価格は常に動いていますので、平均値の点が常に移動し、その点を結んだ線が移動平均線になります。
EMA(指数平滑移動平均線)
指数平滑移動平均線とは、単純移動平均の欠点を補う目的で作られた移動平均線です。
単純移動平均線に比べて、直近の値動きに比重をおいた設定になっているため、非常に滑らな動きをします。
トレンド分析:ボリンジャーバンド
「ボリバン」の愛称で親しまれ、ボリンジャーバンド(BB)などで表されるテクニカル指標です。
1980年代に「ジョン・ボリンジャー」にて考案され、見た目の分かりやすさから多くのトレーダーが愛用しています。
計算方法は標準偏差を用いており、7本のラインで構成され、中心にあるラインはミドルラインと呼ばれている移動平均線です。
上から順番に
+3σ(シグマと呼びます)、+2σ、+1σ、ミドルライン、-1σ、-2σ、-3σとならびます。
ボリンジャーバンドの各σラインの確率は次のように分布されるのが特徴です。
- ±1σ内に63.8%の確率で収まる
- ±2σ内に95.8%の確率で収まる
- ±3σ内に97.7%の確率で収まる
一つの例をあげると、ローソク足が+2σを突き抜けてレートが進行した場合、いずれ±2σの範囲内に収まる可能性が高いと考えられます。
一目均衡表
ichimokuと表記されていることがあるのが、この一目均衡表で昭和初期に作られた日本製のテクニカル指標です。
その見やすさから、愛用しているトレーダーも多く、転換線・基準線・先行スパン・遅行スパンの5本の線を使い相場の分析ができます。
単純な手法としては、ローソク足が雲より上にいる場合を上昇局面として相場が強いと見ます。
一方で、ローソク足が雲より下に位置している場合を下降局面とし相場が弱いと見ます。
これを利用して、ローソク足が雲を上に突き抜けたら上昇サインとし、逆に雲を下抜けたら下降サインとして判断する方法などがあります。
相場の過熱感を示すオシレーター系
RSI
RSIはオシレーター系の中でも代表的なテクニカル指標で、主に使用する目的は相場の過熱感を知るために用いられています。
トレンドフォロー型の分析ではなく、逆張りのシグナルとして活用されることが多いです。
RSIの動き方としては、0%~100%の間を行ったり来たりするのが特徴で、RSIの数値が大きくなると相場が強いと判断し、数値が小さいときは相場が弱いと判断します。
逆張りに使う場合は、RSI70%~80%ラインを超えると買われすぎと判断(売りシグナル)し、20%~30%ラインまで割り込むと売られすぎと判断(買いシグナル)します。
買いの2番目は失敗になっていますが、この場合は多くの場所で機能していることが分かります。
注意
相場の方向性を示すテクニカル分析
相場の方向性を探るのにつかわれるのが、テクニカル指標の他にもあります。
それが、トレンドラインや水平線・チャートパターンなどです。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
トレンドライン
トレンドラインは、テクニカル分析をする上で最も単純で、コツさえつかめば誰でも簡単に使う事ができます。
そして、機能するトレンドラインを見つけるためには、いくつかの線をひいてみることが必要で、さっきまで効いていたトレンドラインはいつか古くなり引きな直さなければなりません。
その為、トレーダーによって線の引き方にもバラつきがあり、テクニカル指標のように数値的な正解がないのも事実なのです。
ですが、引き方の基本的な考え方はあります。
それは、上昇中であれば、安値を結び線を引く、下降中であれば高値を結び線を引くことです。
上昇トレンドラインの引き方
高値を切り上げて、安値を切り上げて、Ⓐ点とⒷ点が決まったら一直線に線を引きます。
次にこのトレンドラインに価格が近づいたら、買い目線のエントリーを仕掛けるなどに利用できます。
下降トレンドラインの引き方
安値を切り下げて、高値を切り下げて、Ⓐ点とⒷ点が決まったら一直線に線を引きます。
次にこのトレンドラインに価格が近づいたら、売り目線のエントリーを仕掛けるなどに利用できます。
水平線
チャートは、上昇して山を作り、下降して谷を作ります。
その上下の動きがトレンドを作り、波のようなうねりを形成していきます。
そこで生まれるのが、サポートラインとレジスタンスラインです。
谷になっているラインをサポートと呼ばれ、山になっているラインをレジスタンスと呼ばれています。
サポートライン
サポートラインとは、チャートでの売り買いの攻防の結果、売りの圧力を買いの勢力が負かした価格水準(領域・ゾーン)などです。
この図では、Ⓐ点とⒷ点にサポートラインが引かれていますが、サポートラインの信頼性が高いのがⒷ点になります。
考え方としては、Ⓐ点とⒷ点に挟まれたゾーンをサポートゾーンと認識します。
レジスタンスライン
レジスタンスラインとは、チャートでの売り買いの攻防の結果、買いの圧力を売りの勢力が負かした価格水準(領域・ソーン)などです。
この図では、Ⓐ点とⒷ点にレジスタンスラインが引かれていますが、レジスタンスラインの信頼性が高いのがⒷ点になります。
考え方としては、Ⓐ点とⒷ点に挟まれたゾーンをレジスタンスゾーンと認識します。
チャートパターン
チャートパターンもテクニカル分析をする時に非常に役に立ちます。
何故なら、一番分かりにくい相場の反転を捉えるきっかけになるからです。
ダウ理論では相場は継続するという定義があるように、トレンドが一旦始まると一つの方向へズンズン進んでいきます。
ですが、どこかでその勢いは弱まり、いつしかトレンドが終了し、新たなトレンドが再開するのです。
そのトレンドの勢いを察知する方法として、覚えておくと便利なのが「チャートパターン」です。
ここでは、代表的なチャートパターンを2つほど挙げておきますので、実際のチャートにあてはめて検証してみてください。
ダブルトップとダブルボトム
チャートパターンを覚えていくうえでまず覚えておきたいのが、ダブルトップとダブルボトムです。
ダブルトップ
ダブルトップを見つけたら
- ダブルトップは、上昇トレンド中に発生するもので、価格の上昇のピークをⒶ点とⒸ点で確認します。
- 谷であるⒷ点を終値ベースで下にブレイクされると、ダブルトップの完成です。
- ネックラインであるⒷ点の価格帯まで引き付け、そこから売りで攻めるのがセオリーとなります。
目標ラインはⒶ点とⒷ点の2倍が最小のターゲットにします。
ダブルボトム
ダブルボトムを見つけたら
- ダブルトップは、下降トレンド中に発生するもので、価格の下降のピークをⒶ点とⒸ点で確認します。
- 谷であるⒷ点を終値ベースで上にブレイクされると、ダブルボトムの完成です。
- ネックラインであるⒷ点の価格帯まで引き付け、そこから買いで攻めるのがセオリーとなります。
目標ラインはⒶ点とⒷ点の2倍が最小のターゲットにします。
テクニカル分析を使ってトレードを有利にする
テクニカル分析を使う理由は、「利益の最大化」と「損失の最小化」だと思っています。
値動きの全てを予測するのは不可能だとこの記事でも触れましたが、一部の値動きを予測することは不可能ではありません。
その為には、一定の基準でトレードを繰り返し、その中から優位性を見出していくことが肝になってきます。
テクニカル分析は、全てのトレーダーが全く同じように分析しているわけではなく、移動平均線もテクニカル指標も表示させず、ローソク足の値動きだけで勝負しているスーパートレーダーもいます。
大切なのは、「基準を持つこと」で目の前の値動きに振り回されず、一定の基準でルール通り取引をしていく為に、テクニカル分析を行い「一発退場」から逃れる事!
その一点に集中して、チャートを分析することが必要だと思います。